Once in a lifetime experience of Architecture
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2009年10月のアーカイブ
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CITIES OF CHANGE ADDIS ABABA
ETH ZurichのMAS Urban Designで行っているエチオピアでのアーバンデザインプロジェクトがBirkhaeuserからとうとう出版されました!3年間のEthiopia Urban Design Studioの成果が詰まった、内容のある本に仕上がっています。
川岸が在籍していた1年目のスタジオからも川岸とMatthew Skjonsberg, Sebastián Alfaro Fuscaldoによるプロジェクト、”Parallel Urbanism”を含む2つのプロジェクトが掲載されています。エチオピアの急速に発展する都市において、多くの問題を抱えた状況をふまえてどのような都市が提案可能であるか、世界各国から集まったアーキテクト、アーバンデザイナーによる、たくさんのアイデアが詰まった読み物です。
これまで多かったリサーチ本ではなく、リサーチをもとにしたデザインを志向しているところがこのスタジオの特徴です。数年後にこれらのアイデアが実現されることがあれば、多くの建築家やアーバンデザイナーの注目を集めることになるでしょう。
それにしても、自分が関わったプロジェクトが出版されるというのは、本当に嬉しいものです。少しでも多くの人に興味を持ってもらえればと思います。
Gigon / Guyer, Goldschlaegi / Erlenhof
Gigon / Guyerの新しい住宅のオープンハウスへ。今回はチューリッヒ近郊の2つの集合住宅の見学会。
Wohnueberbauung Goldschlaegi, Schlieren
105 apartments
GF 16693 m2
cost 31.1 mio. CHF
Schlierenの駅から見えるのはいつものGigon/Guyerスタイルです。
ところが反対側はブルーを効果的につかったインパクトの強いファサード。この色は前にマイアミビーチに言ったときに見たような。とにかくスイスでは珍しい。
建物の奥行きは約9m。鉄道からの騒音のある線路側に水回りを配置し、反対側に寝室を配置しています。
材料はアクリルです。
内部。少し狭い印象はあります。
屋上の住戸には屋上テラスにフォリーが設けられていて、気持ち良い空間に仕上がっています。この住戸117m2の家賃がおよそ3000CHF/月です。これだけ払うならもう少しおもしろい住まい方をしたいところでしょうか。個人的にはプランが少し物足りない感じです。
Wohnbaugenossenschaft Blumenrain, Zurich
85 Apartments (55 for rent, 30 for ownership)
GF 19000 m2
Cost 31 mio. CHF
もうひとつもチューリッヒ近郊のWietikonにあり、今度は密度の高い中庭タイプ。これだけのヴォリュームが緑に塗られると、迫力あります。
中庭側のファサードは白。
模型。イエ型のエレベーションに合わせて、それぞれの平面もイエ型。
1階はプラットフォームの広場になっていて、その下に駐車場が設けられています。
最上階は勾配天井で最高で5mくらいの高さ。
住戸プランが入り組んでいるので、このような長い廊下もありますが、トップライトの効果もあってあまり気になりません。
西向きの角の部屋。ここまでくると高さもしっくりきます。
住戸プラン。Gigon/Guyer得意のロッジアです。
個人的には1つめのプロジェクトよりも2つめのほうが全体的に彼ららしさが出ている作品ではないかと思います。
ちなみに、1つめはMike Guyer, 2つめはAnnette Gigonが主に担当したそうです。やっぱりそれぞれ色はでるものですね。
海外への憧れを経て
建築家・藤村龍至氏がこんな記事を書いています。
(...)留学するまでは「海外で働く」ということに漠然とした憧れがありました。学部3年生の頃、とある国際ワークショップに参加したことがきっかけで英語でコミュニケーションすることの楽しさに目覚め(ありがちですが)、バイトして貯金しては海外に行く、という日々を過ごし、英語もどんどん覚えることができました。
他方、留学している当時OMAにあった伊東事務所にバイトに通わせてもらっていたので、OMAのCCTVチームで怒号を飛ばして仕切っている重松さんや、毎日明け方まで働き、早朝出て行く白井さんを横で見ていて、インターナショナルなチームのなかでバリバリ働いている本当の意味で「国際的な」活躍をしている日本人に憧れる一方で、そういう環境に立つことの難しさも悟らされました。
重松さんのように帰国子女で英語が全く不自由しないか、白井さんのようにまとまった実務経験がある人もいるが、そのどちらもない自分がそのまま就職を試みてかたちとして「海外で働く」ということになっても、単なるCG係、もしくは模型係となってワークショップの片隅で黙々とヒートカッターの技を披露するだけなのではないかと。(続く。。。)
Roundabout journal http://www.round-about.org/2009/09/post_114.html
スイスに来てから3年が過ぎ、一流と言われる大学に留学し、海外設計事務所で実務を経験して、果たして自分が「国際的」になっているかと問われたら、ノーと答えると思う。国際的になっているというよりは、普通のスイス人に近づいている、という表現のほうがきっと正しい。日本で何の実績も持っていない自分は、日本人であるということ以外、スイス人にとって特別ではないからだ。
Patrick Blancというボタニストをご存知だろうか。彼はバーティカル・ガーデンをつくることで有名で、金沢21世紀美術館、パリのQuai Branly Museum、マドリッドのCaixa Forumと、世界各国の有名建築家が彼とのコラボレーションを求めている。彼のように、彼にしかできないと皆が認めてはじめて、エキサイティングな「国際的」恊働が可能になるのだと思う。
留学して、実務経験を経て、広がった世界に、今度は深さを与えていくプロセスが今の自分には必要なんだと強く思うようになった。それがスイスにあるのか、日本にあるのかはまだわからないけれど。藤村氏が当時考えていたことは今の自分の状況に少し近いのかもしれないと思った。