Once in a lifetime experience of Architecture
カテゴリー:KCAP
Search
Red Apple
KCAPの20周年記念イベントでロッテルダムへ。
今年のKCAPの代表作、ロッテルダムに建てられたRed Apple。KCAPのロッテルダムオフィスによるデザイン。
Kees Christiaanseがこのビルが建っているWijnhaven Islandのアーバンプランニングをスタートしたのが1993年。すでに複数の超高層ビルを提案していた。Red Apple自体の計画は2001年からすすめられ、2009年完成。高さ120m, 延べ35000m2, 住戸231, 5500m2商業施設、駐車場338台。
ファサードが印象的。赤色のアルミニウムエレメントによって上部に向かってゆらぎながらグラデーションをつくっているような表現。
住戸内部。内部はシンプルでワンルーム。西向きのリビングスペース。
KCAPのパートナーHan van den Born(右)の自宅である37階の住戸。
地上37階からは市内が一望できる。Cube Houseも見えています。
ワークスペースからキッチン、リビングスペースを見る。
エッジ部分は片持ち。フレームが細いなあ。
コンクリートの表面をはつったような仕上げ。影の映り方が印象的。
Red Apple 2001-2009
design: KCAP Architects & Planners, Rotterdam
Cliant: PWS Housing Corporation Rotterdam
Creative City International Conference in Yokohama
今週末、横浜でクリエイティブシティ国際会議が行われます。川岸のボスであるKees Christiaanseもパネリストとして出席する予定です。プログラムはこちら。
アーバンデザインの実績をもった専門家たちによるディスカッションは魅力的です。
Kees ChristiaanseはKCAPのプロジェクトであるロンドンオリンピックのレガシープラン、ハンブルクのハーフェンシティ等のウォーターフロントのマスタープラニングについて紹介するのではないかと思います。もちろん、今月末に開幕するロッテルダム建築ビエンナーレのことも紹介すると思います。非常におもしろそうですね。
それにしても、この豪華ゲストは、さすがに日本の都市計画、アーバンデザインを牽引する横浜だからこそだと思います。これをきっかけに、日本でもアーバンデザインやマスタープランニングの考え方が少しでも広がってもらえればいいですね。
どなたか、もし行かれる方がいましたら、ぜひ感想をお聞かせください。
Schaffauserrheinweg
BaselのKinderspitalの跡地のためのコンペのエキシビションへ。29の作品が展示されています。KCAPでの担当プロジェクトだったのですが、惜しくも6. Preisでした。結果はこんな感じです。
1. Jessen Vollenweider
2. Fischer + Lo
3. Christ en Gantenbijn
4. sab Architekten
5. Darlington Meier
6. KCAP
7. Michael Meier Marius Hug
8. Burckhardt + Partner
9. Steinmann & Schmid
KCAPの案は、都市のコンテクストを重視し、ライン川への眺望を最大限の魅力とするための配置を選びました。要求を読み取ってプログラムを組み立て、問題を解決している意味では、ある程度の完成度には達している感じはありましたが、やはりコンペに勝つにはアイデアの力強さや新しさが足りていなかったのかもしれません。
こちらがJessen Vollenweidernによる勝利案。三角形のヴォリュームを配置して外部空間を緩やかに定義しつつ、効率の良い住居空間を提案しています。
それにしても、スイスでもこういう案が選ばれるとは意外でした。ETHの新しい学生寮のコンペもそうでしたが、スイス=ボックス的な考え方は、もはや薄れていっているのかもしれません。
初コンペ終了間近。
先週末に無事、KCAPでの初コンペ図面を提出し、今週は模型提出期限。スイスではコンペ模型はオーダーすることが多いはずなんですが、ボスがポロッと、「今回は木でいきたいよね。」ってつぶやいたおかげで、自ら模型製作することに。ホームセンター(?)で木材を調達し、木材加工の機材を使いに、久々のETHへ。久しぶりに行ってみると、なにか戻ってきた感があって、癒されます。研究室の元同僚にも会い、9月に開催されるロッテルダム建築ビエンナーレの話を聞く。
ドイツ語のコミュニケーション能力がまだ低い&アーバンデザイン模型に馴染みがないため、いろんな勘違いと間違いをして怒られながらも、なんとか、いい感じに仕上がってきました。あとは、ボスにプレゼンを任せて、良い結果を待つのみです。
これが2ヶ月で作ったスタディ模型の数々。はじめはどうやってヴォリュームのデザインをするのか全く想像もつきませんでしたが、やはりこれだけの数を作っていくうちに、デザインのポイントは見えてくるものです。最終的なデザインはもちろんですが、失敗と発見を繰り返すひとつひとつのプロセスから多くのことを勉強できます。ふりかえれば、結果的に、ボスが最初に描いたスケッチがポイントをついていた、ということがこの多くのプロセスを経て証明されてはじめて、ボスの経験と直感の鋭さを実感できたわけです。さすがですね。
オランダのどこかの有名事務所が倒産したとか、ヨーロッパも景気がよくないみたいですが、できるだけ多く、そして内容の濃いアーバンデザインのプロジェクトを経験したいと思います。
KCAP
さて、今回は川岸が現在働いているKCAP(Kees Christiaanse Architects and Planners)について少し紹介してみたいと思います。
Kees Christiaanse Architects and Planners
http://www.kcap.eu
スイスに来てから2年間、ETHでアーバンデザインというものを勉強しはじめたのですが、やはり大学でアーバンデザインを勉強することは難しいように感じました。やはりデザイン課題という範囲では、Stakeholderの本当の要求というのは聞くことができないし、建築みたいな最終的な形態として提案するわけでもない。結局デザインが見えてこなかった、というのが正直なところでした。
そこでアーバンデザインを実践として経験できる場所を探していたところ、運良くKCAPに自分の能力を見いだしてもらえ、最大の難関とも言われていた労働許可もオフィスの懸命の努力でクリアし、なんとか正式に働き始めることになりました。
KCAPは日本ではほとんど知られていない事務所ですが、現在RotterdamとZurich、そしてオリンピックのプロジェクトの関係でLondonにもオフィスがあります。Rotterdamには約60人、Zurichは約10人、Londonは数名(らしい)が働いています。
ボスであるProf. Kees ChristiaanseはOMAでパートナーを務めた後に独立。現在はETHで教授も務めています。オフィス全体では建築のプロジェクトももちろんあるのですが、Zurichのオフィスは現在のところアーバンデザイン専門。それも彼がアーバンデザイナーとして一目置かれる存在だからのようです。プレゼンテーションやワークショップでは彼のアーバンデザインに関する知識にいつも驚かされます。今年の9月に開幕するロッテルダム建築ビエンナーレのキュレーターも務めていて、そちらも楽しみです。
オフィス。現在はコンペのプロジェクトなので、テーブルの上はスタイロフォームとボリューム模型の山。アーバンデザインは結局はボリュームデザインなので、模型の9割はスタイロフォーム。
プロジェクトのひとつ。ワークショップ用の模型です。建築をやっていたときとはスケールが全然違う。今担当のプロジェクトは8haなので建築の延長とも言えますが、現在オフィスの最大のプロジェクトは700ha。ここまでくるともはや数字だけ扱っているような感じですね。
もう少し働いて方法論がつかめてきたら、ちょっとまとめてみたいと思います。